新型コロナウイルスの影響で仕事を失い、仙台市内で路上生活をしている人たちに、国が一律に給付する現金10万円が届かない可能性があることがわかりました。
仙台市に住民票の登録がないためで、調査をしたNPO法人は、自治体などに対し、柔軟な対応を求めています。

現金10万円の一律給付は、国籍を問わず、4月27日時点の住民基本台帳に記載されているすべての人が対象で、住民票の登録がある自治体で手続きを進めることになっています。
この給付金について、路上生活者の支援を行っている仙台市のNPO法人が6日、新型コロナウイルスの影響で仕事を失い、市内で路上生活をしている人など24人に、もらう予定かどうかをきいたところ、7割にあたる17人が「はい」と答えた一方、6人が「いいえ」、「もらえない」と答えました。
支給を受けない理由を尋ねると、住民票が仙台市にないか、どこにあるかわからないなどで、住民票の登録がないことで、仕事を失い、生活に困窮する人たちに現金が届かない可能性があることがわかりました。
仙台駅前で路上生活をする栃木県出身の50歳の男性は、千葉県の建設会社での仕事を失い、先月から宮城県内の建設会社に住み込みで働いていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響で仕事が激減し、同僚との人間関係も悪化して今月、会社をやめることになり、同時に住まいも失いました。
当初はネットカフェも利用しましたが、すぐに貯金が尽き、先週、生まれて初めての路上生活に転落したといいます。
男性は、新たな仕事を探すためにも現金が必要なことから10万円の給付を希望し、仙台市役所を数回、訪れましたが、仙台市の住民票を持っておらず、住まいもないことから、門前払いの対応を受けたということです。
男性は、支援団体の世話で10日から施設で生活しています。
そこで、以前暮らしていた自治体に問い合わせて給付金を受け取れる見込みになりました。
男性は、「仙台市には住民票がある自治体に帰って給付金の申請をすることを勧められたが、お金もない路上生活者には移動なんてできない。給付金は国民全員に行き渡ると言いながら届いていないのが現状です」と話していました。
調査を行ったNPO法人「仙台夜まわりグループ」理事の新田貴之さんは「路上生活者の中には、仕事を求めて、県をまたいで移動している人も少なくない。新型コロナウイルスの影響で仕事を失い、緊急の支援を必要とする人が給付金を受け取れるよう、国や自治体には柔軟な対応を考えてほしい」と話しています。
【仙台市の支給は申請の1割】。
現金10万円を一律に給付する「特別定額給付金」について、仙台市で11日までに支給されたのは、申請件数の1割にとどまっています。
仙台市では、先月18日からオンライン申請を、郵送で申し込むための申請書の発送は先月25日から始めています。
市によりますと、10日までに対象のおよそ52万1000世帯に申請書の発送が終わり、10日時点で受け付けた申請は、全体の56%にあたる、およそ29万2300件です。
一方、給付金を支給したのは、10日までにおよそ4万件と対象世帯のおよそ7%、申請件数の10%あまりにとどまっています。
支給が遅れている理由について、仙台市は、職員およそ120人の体制で作業にあたっているものの、対象世帯が多く、確認作業などに時間がかかっているためだとしています。
仙台市市民生活課は、「新型コロナウイルスの影響で生活に困窮している人たちのためにも体制を強化して、なるべく早く支給していきたい」と話しています。

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