“かぜに近い症状が多い”ともいわれるオミクロン株ですが、かぜやインフルエンザ、これまでの新型コロナと比べてどう違うのか。Nスタではそれぞれの感染性、症状、症状の現れ方についてこれまでのデータをもとに比較します。また、今後“かぜの症状”を感じた際にどう対処したらいいのか、専門家とともに考えます。
■東京 陽性者871人 前週の約8倍
井上貴博キャスター:
ウイルスの性質が変わっていますので、その性質に合わせてどう対応していくか。まずは沖縄の現状です。沖縄の検査陽性者数、12月から1月にかけて急激に増加しています。1月10日の沖縄県の新規陽性者数は779人でした。急激なオミクロン株への置き換わりという形です。1月7日、8日は1000人を超えていたのですが、1月10日は779人。急激な置き換わりによって、ピークアウトがいつになるのかというのも焦点です。
この急拡大によって、まず保健所はどうなっているのでしょうか。これは今までの流行の波と近い形、ひっ迫度合いであることが見えてきます。那覇市保健所では、濃厚接触者の特定作業というのがままならないといったことから、検査を受けて「陽性」と判定を受けた方自身で「濃厚接触者」を判断し、外出自粛などを連絡するというお願いに、1月9日から当面の間、切り替えました。
あとは医療従事者です。「軽症」が多いとのことですが、一度検査を受けて「陽性」と判定されてしまいますと、出勤ができないということで、医療従事者の人手不足をどう解消してくのか。1月9日時点で沖縄県で「陽性」や「濃厚接触者」として出勤できない医療従事者は485人となっています。宮古病院では1月11日から当面の間、一般外来を休止することになりました。あとはエッセンシャルワーカーの方々がこういったことになってくると、全国的にどう対応すればいいのか、この辺りは大きな課題と言えます。
東京の状況を見ていきましょう。検査陽性者、1月10日は871人でした。陽性率が5.8%、東京都独自基準の重症者は現状4人です。1月9日に小池都知事はこう話していました。感染力の強さというところは間違いないということで、
「超高速に“極”をつけてもいいくらいの急速な拡大」
という言葉を使っていました。今後の対策については、
「オミクロン株はどういう課題があるのか。世界・国内で知見が蓄積されつつありますので、専門家の意見も聞きながら対応を適切に行っていきたい」
ホラン千秋キャスター:
大谷さん、オミクロン株についての発言が小池都知事からもありましたけれども、こういった部分というのはまだ見えてきていないんですね?
池袋大谷クリニック 大谷義夫院長:
はい。諸外国のデータですと、重症化率はどうも低そうだというのはわかってきましたが、まだ日本人のデータ、さらには日本人のデータがないだけじゃなくて、欧米諸国に比べれば、まだブースター接種が進んでおりませんからこれから日本でどのような状況になるかっていうのはまだ不透明ですよね。
ホランキャスター:
仮に「軽症」が多かったとしても、医療提供体制というのは地域ごとに変わってきますので、オミクロン株の特性が今までと変わったとしても、やはり医療がひっ迫してしまう自治体というのは出てくるわけですよね。
大谷義夫 医師:
これは「重症度×感染者数」で決まると思いますので、感染者数が数倍になった場合には、やはりベッドも埋まってしまうことになります。
■オミクロン株はかぜとどう違う?
井上キャスター:
今わかっていることが少ない中で、よく言われる部分です。国立感染症研究所の脇田隆字所長も6日、オミクロン株患者の症状についてこう話していました。
「かぜに近い症状が多い」
これらのコメントを踏まえ、「かぜ」「インフルエンザ」「新型コロナウイルス」の3つをそれぞれ「感染性」「症状」「症状の現れ方」別に分けて比較してみましょう。
▽かぜ
感染性:あまり強くない
症状:37~38度の微熱が多い、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、せき、喉の痛みなど上気道が中心
症状の現れ方:ゆるやか
▽インフルエンザ
感染性:強い
症状:高熱、38度以上の急激な発熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、悪寒など全身症状が急激に現れる
症状の現れ方:急激
▽新型コロナ(デルタ株を中心)
感染性:強い、非常に強い(インフルエンザ上回る)
症状:無症状、微熱、高熱とさまざま、発熱、せき、頭痛、けん怠感、味覚、嗅覚障害
症状の現れ方:ゆるやかだが急激に重症化、肺炎を合併することも
▽オミクロン株
感染性:さらに強い(デルタ株上回る)
症状:上気道が中心、インフルエンザと見分けつかない
症状の現れ方:重症化少ない
新型コロナウイルスについては、インフルエンザ以上に肺で悪さをするのは大変厄介であるということですが、これが「オミクロン株」になると症例はまだ多くはないものの、この感染性はデルタ株をさらに上回るであろうということは間違いなさそうです。一方で、肺で悪さをするというよりも、上気道が中心になる。かぜ、インフルエンザと見分けがつきにくい。重症化が少ない。医療の対応として、「デルタ株」は重症患者に対するアプローチが非常に重要だった一方で、「オミクロン株」は重症患者が少なく、軽症者が多く出てきたときに、どうこのあたりの見分けをつけて入院以外で治療を続けていけるのかというところです。
■かぜの症状を感じたら検査、隔離を
東京で考えますと、今、「かぜ」の症状になったらどうすればいいのか。池袋大谷クリニックの大谷院長に話を伺うと、
「かぜ、インフルエンザ、新型コロナウイルスは見分けがつかない。特にオミクロン株は見分けがつきにくいので、検査が受けられる病院で受診することが大事。休日深夜など受診ができない場合は、無理に出勤、通学しないことが重要。市販されている検査キット活用も一つの手」
ホランキャスター:
大谷先生、検査をしない限り、医師でも見分けがつかないということは、症状のある方が、自分の判断で「これはかぜっぽいから大丈夫かな」と思って学校や職場に行ってしまうのは危険だという理解でいいでしょうか?
大谷義夫 医師:
はい、おっしゃる通りです。今までの、以前の日本人でしたら、「かぜ」ぐらいで、学校も会社も休めないという考えの方が多かったと思うんですけども、今回新型コロナウイルスが入ってから、特にまたオミクロン株では、さらに「かぜ」と区別がつきませんから、「かぜ」だと思ったら無理に学校、職場に行くのでなくて、できるだけ検査をしていただいて隔離していただくということがまず大事ですね。
ホランキャスター:
症状が出ているときだけではなくて、オミクロン株の後遺症に対しては何かデータというのは入ってきているんでしょうか?
大谷義夫 医師:
まだオミクロン株が始まったばっかりですから、これから後遺症に関するデータは出てくるとは思うんですけども、もともと後遺症は「軽症だから軽い」「重症だから重い」というものでもございませんので、軽症者から重症者は一定の頻度で後遺症のある方はいますから、やはり注意が必要なのは間違いないです。さらには、かぜ症状に近いオミクロン株が多いんですけど、一部の方は重症化いたします。よくインフルエンザともともと比べられるものの、インフルエンザと違うのは何か。やはり一定の頻度で重症化する方がいる。今回オミクロンで少なくなっても、やっぱり一定の頻度で重症化する。私、呼吸器内科医として呼吸器内科医生活は30年以上、インフルエンザでICUでレスピレーター、人工呼吸器がついた方っていうのは本当に数名しか見たことございません。今回のコロナになってから、ご存知のようにICUの病床がコロナの重症肺炎で埋まってしまうっていうのは、今までどこの医療機関も、どこの呼吸器科医も感染症科医も経験ないことですから、インフルエンザと同等だと考えるのはまだ早いと思います。ブースター接種が進んで、さらに経口薬で重症化予防ができる段階を待つ、早く迎える時代になっていただきたいと考えております。
ホランキャスター:
ウルヴェさん、お話を伺っているとやはり私たちも気を抜かずに、今までやってきた感染対策を徹底して、日常生活を送るということ。それしかないなという気がしますね。
メンタルトレーニング指導士 田中ウルヴェ京さん:
そうですね。同時に症状が軽い可能性があって、「かぜ」のような症状であれば、やはりもう今、検査できますから、諸外国などは本当に検査をしながら、日々「陰性」を確認して活動するというようなことも増えているので、オミクロン株がまだまだ不明確なことが多いということ、これを私たちはしっかり頭に入れておかなきゃいけないですね。
(10日17:54)
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