緊急事態宣言の期限が9月30日に迫る中、2回のワクチン接種を受けているにもかかわらず、新型コロナに感染してしまうブレイクスルー感染が各地で相次いでいます。ブレイクスルー感染はなぜ起きてしまうのか?そして、気を付けることとは?
■9月24日午後9時 東京・渋谷
午後9時になっても人の流れは途絶えません。
山本恵里伽キャスター
「この時間、開いている店はたくさんのお客さんで賑わっています。仕事帰りでしょうか、スーツ姿の方も多くいらっしゃいますね。皆さんビールなどお酒を飲んでいらっしゃるようです」
店だけにとどまらず路上でも。
「お酒を片手に路上で話し込んでいる人の姿もみられます」
ワクチンの安心感からなのか、街に張り詰めた空気は感じられませんでした。
■9月末で宣言解除か
東京都で9月24日、新たに確認された感染者は235人。感染者数は9月に入り、全国的にみても減少を続けています。
19都道府県に出されている緊急事態宣言の期限が9月末に迫る中、田村厚生労働大臣は・・・。
田村憲久 厚労相
「このまま低下傾向が続けば、ほとんどのエリアで(緊急事態宣言を)解除する一つの基準に近づいてくる」
9月30日には、ほとんどの地域で宣言の解除が可能になるとの見通しを示しました。
■夜の渋谷の街では
山本キャスター
「9月いっぱいで順調にいくと緊急事態宣言が解除されるが?」
大学生
「学生生活2年間つぶれちゃったというのもあるので、もうちょっと大学生の間に学生生活らしいことをもっとしたいなって。大々的に大人数での飲み会とかはやっぱりやりたい」
20代会社員
「(行動制限の緩和を)あまり焦ってやっても、また(感染者が)増えてとかなるので、ロングスパンで見たときに終わりが延びていっちゃうのかな」
■宣言解除を見据えた動き
宣言解除を見据えて動き出す事業者もあります。大阪市内の酒店は、ここ最近、飲食店などからの注文が相次いでいると話します。
酒店店長
「かなり出てますね。毎日ちょっと忙しくなってます」
宣言が出て以降売り上げが激減していましたが、現在は8月の5倍ほどに増えているといいます。
酒店店長
「これまではすっからかんだったが、だいぶストックも増えてきた。かなりの量を仕入れているし、新規オープンの店が多くなった」
■10月からの実証実験とは
一方、政府が10月から行う予定の行動制限緩和の実証実験について西村康稔経済再生担当大臣は・・・。
西村康稔 経済再生相
「すでに13の都道府県から様々な提案や、参加したいという意思表明があります」
実証実験への参加表明があったのは、大阪、兵庫、北海道、沖縄、福岡など13の自治体です。対象となるのは、飲食店のほかプロスポーツや音楽コンサートなどのイベントで期間は2~3週間になる見通しです。
実証実験への参加に名乗りをあげている大阪は・・・。
大阪府 吉村洋文知事
「例えば飲食店で実証実験するとなれば、お酒は(午後)8時、営業は9時までと今のまん延防止でそうなってます。その9時をこえた時間帯も含めて実証実験をすると。人数なんかも、それを超えた人数でそれを対象とする」
■相次ぐブレイクスルー感染
9月24日午前中に開かれた東京都のモニタリング会議。専門家から、ある懸念が示されました。
国立国際医療研究センター 大曲貴夫医師
「ワクチンを2回接種した後も感染し、本人は軽症や無症状であっても、周囲の人に感染させるリスクがあることを啓発する必要がある」
新型コロナのワクチン接種を2回受けているにも関わらず感染してしまう、いわゆる「ブレイクスルー感染」がこのところ相次いでいるのです。
群馬県・伊勢崎市の病院では9月20日から22日にかけて、10代から80代の入院患者17人、職員8人、あわせて25人が感染するクラスターが発生。24人がワクチンを2回接種済みだったほか、1人も1回目の接種を終えていました。
福井県・越前市の介護老人施設では、入所者22人、職員13人、あわせて35人の感染が確認されました。
福井県の担当者
「共通点として、全員がワクチン接種2回終えている」
東京都内に住む40代の男性もブレイクスルー感染したひとりです。
ブレイクスルー感染した男性
「何も考えられなくなったというか、仕事への影響とその期間に誰と会ったか、そういったところが不安になった」
男性は7月30日に2回目のワクチン接種を受け、8月12日に知人と会食。翌13日、知人の体調が悪くなり、14日、PCR検査で知人の感染が判明しました。その後、男性もPCR検査を受けたところ、8月18日に感染が確認されました。男性は10日間ほど微熱が続いたほか、途中でにおいを感じなくなったといいます。
ブレイクスルー感染した男性
「ほぼ、かからないのではないかと思っていたので、重症化とかそういったことになってしまうのではないかという不安と驚きがあった」
■ブレイクスルー感染の仕組み
なぜブレイクスルー感染は起きるのでしょうか。専門家は・・・
長崎大学大学院 森内浩幸教授
「ワクチンの有効性は決して100%ではないし、その効果は一生続くということではない。必ず、ある一定の確率でブレイクスルー感染、つまりワクチンをちゃんと打った上でも感染してしまう」
ブレイクスルー感染の仕組みは次のようなものです。ワクチン接種から2週間で体内に十分な抗体ができるとされていますが、時間が経過すると抗体の量は減っていきます。この状態でウイルスが侵入すると感染してしまいます。ところが、抗体を作る工場の役割をする細胞は残っているため、ウイルスの侵入により工場では抗体の再生産を開始。この生産のスピードは速く、重症化する前に症状を抑え込むとみられています。
長崎大学大学院 森内浩幸教授
「ブレイクスルー感染するとは言っても、非常に軽くて済む。場合によっては発病すらしなくて済むかもしれない」
山本キャスター
「逆に言うと発見しづらいということなんですかね?」
長崎大学大学院 森内浩幸教授
「ブレイクスルー感染の多くは全然症状がないか、症状があっても非常に軽いので、自分が感染していると思わなかったりすることもある。そういう人たちから他の人たちにウイルスをまき散らすことが起こりうる」
厚生労働省によると、9月8日から10日までの新規感染者のうち、約8%が2回接種済みだったことがわかりました。
長崎大学大学院 森内浩幸教授
「ワクチン接種をした人たちは、これで大丈夫という気持ちになって感染予防対策が緩んでしまうおそれもある。これまでと同じように、もしくは、それ以上に気を引き締めて、マスクの着用・換気の徹底・3密を避けるなどの感染予防対策をやっていく(必要がある)」
(24日23:44)
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