緊迫する台湾情勢について、「抑止力を強化している」と発言したアメリカのオースティン国防長官。
その「抑止力」とは何なのか?
日本に来航した、アメリカ軍のある1隻の艦船に注目した。
深緑の台湾海峡を航行する黒い影。
11月29日に撮影された衛星写真には、中国の「094型晋級戦略核ミサイル原子力潜水艦」が浮上したまま北上する姿が捉えられていた。
定期点検か、修理か。
中国北部の造船所へ移動していたとみられている。
この潜水艦には、核ミサイル「JL-2」の発射口が12カ所ある。
「JL-2」は、核弾頭を最大3個搭載でき、最大射程は8,000kmとされていて、潜水艦の基地に面した南シナ海中央部からは、日本全域がすっぽり射程に入る。
そんな脅威が、台湾海峡を進んでいた。
台湾情勢をにらみ、抑止力を強化しているアメリカは同じ日、長崎・佐世保基地に、1隻の船を寄港させていた。
これは、アメリカ海軍の潜水母艦「フランク・ケーブル」。
船の甲板に横たわっている巨大なクレーン。
「フランク・ケーブル」は、搭載されたクレーン3基を駆使して横付けされた原子力潜水艦に、水や食料のほか、魚雷などの武器を補給し、簡単な修理を行うこともできるとされている。
6年ぶりに日本に来航した「フランク・ケーブル」は、たった2隻しかないアメリカ海軍の潜水母艦のうちの1隻。
これまで何度も実戦で使われてきた「トマホーク巡航ミサイル」を、アメリカ海軍の原子力潜水艦に搭載することが可能で、今回、神奈川・横浜、広島・呉、長崎・佐世保、そして沖縄と、立て続けにその姿を見せた。
「フランク・ケーブル」が原子力潜水艦に補給できる「トマホーク巡航ミサイル」。
1,600km以上先の地上の標的を、ピンポイントで攻撃することができるミサイルで、1991年の湾岸戦争以降、さまざまな作戦で使われてきた。
トランプ政権下で行われた2018年のシリア攻撃では、60発以上の「トマホーク」が撃ち込まれた。
フジテレビ・能勢伸之解説委員「原子力潜水艦の動力は原子力なので、航続距離はほぼ無限だが、トマホークを撃ち尽くせば、どこかで再び搭載しなければならない。巨大なアメリカ軍基地があるグアムやハワイなど太平洋の半分を渡るより、潜水母艦が日本のような同盟国に展開すれば、すぐにトマホークの搭載が可能になる。アメリカ海軍には、トマホークを発射できるさまざまなタイプの潜水艦がある。トマホークを最大154発連射できる巡航ミサイル原潜もある。この数は敵に大打撃を与えるだろう。海の中の動きは見えなくても、こうした潜水母艦の存在は抑止力を強化するといえ、それが日本各地に姿を見せ、極東でにらみをきかせたことの戦略的意義は、決して小さくはないだろう」
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