ロンドン金融街シティで20日、フィリップ・ハモンド英財務相が財界関係者を集めた夕食会で演説しようとしたところ、気候変動対策を求める活動家たちが会場に乱入した。抗議者を会場から出そうと主催者や出席者たちが対応する中、マーク・フィールド外務担当閣外相が女性抗議者をつかみ、首を押さえつけて歩かせる様子が批判された。首相官邸は翌21日、内閣府と保守党が事実関係を調査する間、フィールド氏を停職処分にした。

気候変動の危機を訴える環境団体グリーンピースの抗議者40人は赤い服を着て、「気候緊急事態」と書かれたたすきをかけ、「気候緊急事態」と繰り返しながら夕食会の会場に入ったものの、すぐに会場から追い出された。

抗議に参加した女性の1人、ジャネット・バーカー氏が、与党・保守党のマーク・フィールド外務担当閣外相(アジア・太平洋担当)の後ろを通り過ぎようとした際、フィールド氏がバーカー氏をつかみ、柱に押し付けた後、首を背後から押さえつけ、会場から追い出した。この様子を、現場にいた英ITVのクルーが撮影した。

こうした状況を受け、首相官邸報道官は21日、テリーザ・メイ首相も映像を見て、その内容を「非常に懸念している」とコメントした。

官邸報道官は、フィールド閣外相が「自ら内閣府と保守党の判断を仰いだ」と説明。「調査が行われる間、閣外相としては停職処分にする」と述べた。

フィールド議員はITVに文書でコメントを寄せ、「会場が混乱し、多くの来客は当然ながら不安に思っていた。抗議者の1人が自分を通り過ぎて主賓のテーブルに勢いよく向かっていったので、私は本能的に反応した。警備員がいなかったので、私は一瞬本気で、武器を持っているかもしれないと心配した。その結果、私は侵入者をできるだけ素早く部屋の外に出すため、彼女をがっしりつかんだ。今回の出来事を深く遺憾に思い、つかんでしまった女性に心から謝罪する。しかし今のご時勢からして私は、あの場の人たちの安全への脅威を取り除くため、断固たる行動をとる必要があると感じた」と述べた。

フィールド議員はさらにITVに対して、「この出来事が広く注目されていることを受け、私は内閣府に対して、自分が閣僚としての行動に違反したかどうか判断を仰ぐことにした。もちろん内閣府の調査に全面的に協力するつもりだ」と明らかにした。

グリーンピースのアリーバ・ハミド氏は、「当の抗議者は、夕食会に出席していた財界・金融関係者と、気候変動や必要な経済改革を話し合おうとしていた」と述べ、フィールド議員の対応を批判した。

ハミド氏は、「私たちは自分たちが何者かはっきり宣言しながら、会場に入った。気候変動が緊急事態だという重要な主張をするために」と言い、抗議に参加した女性が武装していた可能性を疑うなど「突拍子もないこと」だと反論した。

野党の労働党や自由民主党の議員たちからも、フィールド議員の行動を批判する声が相次いだ。

一方で、会場を運営するシティ・オブ・ロンドン・コーポレーションは、活動家たちが会場に入れた事態を重く見て、名誉市長公邸の警備体制を点検すると述べている。

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